香典返しは、故人を悼み、遺族を励ましてくださった方への御礼のギフトです。弔事のマナーは宗教や宗派、地域によって様々な違いがありますが、いざという時に慌てないよう基本的な事柄を覚えておきましょう。
- 香典返しって何?
- 文字通り、香典をいただいた方に対して返礼の品を贈ること、またはその返礼品自体を香典返しと言います。「香典」とは本来、仏式で用いられる言葉で、香典返しという習慣も神式やキリスト教式にはありませんでした。しかし現在では仏式の影響を受け、葬儀や通夜で供えていただいた金品に対し、お礼の品を贈ることが神式やキリスト教式でも一般化しています。
- いつ贈ればいいの?
- 一般的には「忌明け」に合わせて贈ります。仏式では、地域にもよりますが、亡くなってから49日目の「四十九日法要(七七日忌法要とも言います)」をもって忌明けとなります。神式では、50日目の「五十日祭」が、キリスト教式では納骨を済ませることが多い30日目の「追悼ミサ(カトリック)」や「召天記念式(プロテスタント)」が、返礼のタイミングとなることが多いようです。しかし最近では、葬儀や通夜の当日に香典返しをお渡しし、持ち帰っていただく「当日返し」が増えています。当日返しの場合、いただいた金額が分かりませんので、高額の香典をいただいた方には後日改めて御礼の品を贈ることになります。
- 相場はどれくらい?
- いただいた香典の半額程度の品を贈る「半返し」が基本とされていますが、高額の香典をいただいた場合は、三分の一程度のお返しでも失礼にはあたりません。ただし当日返しを行った場合は、いただいた額とつり合わない方が出てくる可能性もあります。その際は、当日返しの分と合わせて半返し・三分の一返しとなるよう、別途御礼の品を差し上げるといいでしょう。
- どんなものを贈ればいいの?
- 香典返しには、食品や日用品など、消えてなくなるものが良いとされています。具体的には、食品であればお茶や海苔・乾物・調味料・菓子など。日用品なら洗剤や石けんなどが人気のようです。また、価格帯が豊富で、どなたにでも喜んでいただけるカタログギフトを選ぶ方も増えています。逆に、肉や魚、酒などの嗜好品は避けるべきだと言われています。ただしこれらの品も、カタログギフトから選んでいただく分には問題がないとされています。
- どうやって贈ればいいの?
- 忙しい中、故人のために足を運んでくださった方々への御礼ですから、本来なら直接ご挨拶に伺って手渡しするべきところ。ですが、遠方の方も含めすべての参列者の元をお訪ねするというのも現実的ではないため、郵送や宅配でお贈りすることも一般的になっています。ただしそれはあくまでも「略儀」であるため、香典返しを配送でお届けする際は、必ず挨拶状(奉書)を添えましょう。挨拶状には、「お供えや弔意への感謝」と「法要が無事執り行われたことのご報告」、「返礼を略儀にて済ませることへのお詫び」を、きちんとした文章で盛り込みましょう。
- のし紙や水引はどうすればいいの?
- 香典返しに添えるのし紙には、宗教や地域によって色々なパターンがありますが、広く使われている次の組み合わせを覚えておくと安心です。仏式・神式・キリスト教式を問わずに使えるのが、「黒白結び切りの水引」に、「志」の表書きという組み合わせ。水引の下には施主の姓を入れます。なお、西日本では「黄白」の水引を使ったり、表書きを「満中陰志」とすることもあります。また、神式やキリスト教式では、表書きに「偲草」がよく使われています。
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